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忘れられぬ旅 其の三 [回想録]

                前回までのあらすじ

 旅もここまで・・と思いきや、突如として救いの手が差し伸べられた。しかし、その状況の急展開ぶりに、ブログ主の脳は少なからず混乱してしまったのであった!

 聞けば、その初老の男性は、ヤボ用を済ませて、車に帰ってきたところで、私とタクシードライバーさんとのやりとりを目にしていたようで・・結果、私はその男性の厚意に甘え、車に乗せて頂きました。正直なところ「超小心者」である私は、アレやコレやと邪推をしたことも事実ですが、それ以上に、その男性の真摯な態度を「信じたい」と思ったのです。そして、1時間半近くの車での移動中、男性は「私を送ってくれる理由」を話してくれました。

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 その男性は東日本大震災の起きたあの日、津波が押し寄せた「あの」町にある自宅におり、被災直後には妻と息子夫婦、そして幼いお孫さんと共に、とある避難所へと逃げ込んだそうです。ところがその小さな避難所には男性の家族以外に、2・3家族しか避難していない上に、大混乱の影響で行政からも一切の助けが来ないという状況に陥ったそうです。数日間、極寒の中、孤立した避難所にこもりきりという中で、その男性は、最悪の場合のときの「とるべき行動」を家族と決めたそうです。

男性 「もし、このまま助かる見込みが断たれたときは、幼い孫は私が自らの手で楽にしてあげて、自分達の命は自分達で始末をつけよう。と、家族で決めていましたよ。当時はそんなことを本気で話し合う程の極限の状況でした」

当の被災者の方が話されるその話は余りにもリアルで、私はただ、男性の話を聞き入っていました。

男性 「でも、ついに自衛隊の車輌が助けに来てくれたんです。ですが、その車輌に掛けてあった災害派遣の横断幕の下に〇〇駐屯地と書いてあって、そりゃあビックリしました。てっきり近県の駐屯地から来てくれたんだろうと思ったら、〇〇県の〇〇駐屯地からの救援ですよ?・・・そう、あなたのご近所さんの駐屯地ですよ」

       ここまで話して頂いたところで、私も全てを理解しました。

男性 「聞けばあなたは〇〇駐屯地のご近所さんな上に、自衛隊の模型を作ったり、全国の駐屯地を巡る旅を生きがいにしているそうじゃないですか。自衛隊に一家の命を救ってもらった身で、そんなあなたを助けてあげられないようじゃ世間に顔向けできませんよ^^」

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やがて目的の駐屯地の正門前に到着しました。別れ際「せめてガソリン代だけでも」という私からの申し出を頑なに拒みつつ、ひとつ、約束をしてくれればそれでイイと仰ってくれました。それは
            

 「あなたのその生きがいを、ずっと続けてくれると約束してくれればそれでいい」
                  と・・。




今年もまた春の駐屯地祭シーズンが近づいてきていますね。〇〇さん。約束は守り続けていますよ!

  次回は、こんな私が、精一杯の感謝を込めて製作した、ある作品を御紹介します。
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